
消えた地名
港区の97%が消えた町名の中、なぜ「狸穴」は残ったのか。
港区の町名の九十七パーセントが姿を消した時代に、なぜこの名前だけ生き延びたのか。
「麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)」。読める人の方が少ない、この奇妙な町名は、東京都港区に今も実在する住所だ。
由来には諸説ある。有力とされるのは、この地に生息していたアナグマ(古語で「猯(まみ)」)の巣穴にちなみ「まみあな」と呼ばれ、後に「狸」の字が当てられたという説だ。一方で、鉱物採掘のための坑道(マブ穴)が地名の起源だとする説も伝わっている。[1][2]
確かな記録もある。1962年に住居表示に関する法律が施行されると、港区でも古い町名を整理・統合する動きが加速した。1978年には、町名変更の実施率が九十七・四パーセントに達していたという記録が残る。[2]
ほとんどの町がこの波にのまれて消えていく中、麻布狸穴町と麻布永坂町の二つだけが、最後まで名前を変えなかった。なぜこの二町だけが例外とされたのか、選定の詳しい経緯を示す一次資料までは確認できていない。
地図の九十七パーセントが書き換えられた後にも、書き換えられなかった二パーセントが残った。その境界線を引いたのが誰だったのかは、今も判然としない。
参照資料
[1] 雑学ネタ帳「「狸穴町」の地名の由来」 [2] 東京都港区「地名の歴史(麻布地区)」


